能あるタカは爪を砥ぐ。

2/20

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
──あれから。 鷹子は俺の部屋に来ることはなくなった。 最初のうちは少し気になっていたけど、それもだんだんと忘れていくような日数が経っていた。 「トンビ!」 俺は今日からの現場で、久しぶりに見る奴に出会った。 「隼人(ハヤト)」 「なんか久しぶり(笑)しばらく一緒の現場だな」 ニカッと笑いながら言うこいつは、俺と同い年の鳶。 この間まで違う現場に行っていた。 「鉄骨鳶の助っ人はどうだった?」 とび職、といっても一概に一つとは言えない。 代表的な分類を言うと、 ・足場鳶 ・鉄骨鳶 ・重量鳶 かな? まぁ、他にもあるけど。 建設業の一括りにされてしまうけど、鳶の仕事は結構重要だ。 「あー、まぁ勉強にはなったけど俺っちには足場鳶の方が向いてるかな(笑)」 「そうか(笑)」 今日からの現場も足場の仕事だ。 「そういえばさ、今ではもうやってないらしいんだけどー」 隼人がどこぞで仕入れたとび職話を始める。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加