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「すみません…」
中に入ったものの、部屋の隅で壁に向かって正座をしている鷹子が言った。
「あー、気にするな」
俺もすっかり目が覚めてスウェットのままベッドの上に座っていた。
「いや~、うっかりうっかり。寝る前はズボン穿いてたと思うんだけどな~」
「…ズボンだけじゃなくて上も貸したろ?」
「えへっ☆俺っち、寝てる間に服を脱ぐ習性があるみたいで(笑)」
なんだその習性(笑)
「はい、もう大丈夫だよ~ん」
隼人が貸していたジャージをはいてから鷹子に声をかけた。
「あ、はい…」
おそるおそる鷹子が振り返る。
「きゃぁ!」
また叫んで、両手で顔を覆う。
「ふへっ!新鮮すぎる(笑)」
…下はジャージを穿いたけど、上半身裸のままの変態が笑う。
「…警察来たらお前突き出す」
「いやん☆」
冗談じゃんかー、といいながらようやく上も服を着た。
「あ、あのっ…」
顔を真っ赤にして鷹子が俯いて口を開く。
「ああ、で?何の用事?」
「…とう」
「は?」
「お弁当、作って来ました」
室内に沈黙が降りる。
「はぁああああ!?」
”お弁当”
それが何か分からない日本人はいないと思う。
だが、しかし。
料理をするとキッチンを火事未遂にする鷹子が、弁当を作った…だと!?
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