タカを拾いました。

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この日はなぜか、ちょっと回り道してみようと思って公園の散歩道を通った。 まず、それが失敗だった。 トコトコ歩いていると、公園のベンチに女子高生が座っていた。 どこをどう見ても女子高生。 制服着てるし学生鞄を脇に置いてるし。 で、非常に困った状況に陥っていたようで… 「ねーねーこんな時間にこんな所で一人で何してんの?」 「行く所なかったら今から俺らと遊ばない?」 2人の若者に絡まれていた。 時刻は21時を少し回った所。 もちろん、こんな時間に公園といえども人気はありません。 「・・・」 気にはなったけど、関わり合いになるのもなんだったので前を普通に通り過ぎた。 女子高生から、5歩ほど歩いた時だった。 「困ります…!」 か細い声で悲鳴のような声を上げる女子高生。 「・・・」 気になって思わず立ち止まってしまった。 「離して下さい…!」 チラ、と振り返ると女子高生が男に腕を掴まれていた。 鞄は抱きしめるように抱えている。 「いーじゃん、遊ぼうよ」 「は、離して下さい…」 何だろう、このドラマのような展開は? そしてお決まりのようにしつこく女子高生に絡む男達。 そうこうしている内に女子高生の瞳に涙が溜まってくる。 「うおっ!泣いちゃうの?」 「やーべ、可愛いじゃんこの子(笑)」 女子高生の涙とは裏腹に男達はからかう。 「はぁ…」 誰の耳にも聞こえるようなため息が俺の口から出た。 そこで、ようやく男達は俺の存在に気付いたようだった。 女子高生も俺に助けを求めるような目で見てくる。 「あん?何だお前」 男のうちの一人が絡んで来た。 こーいうヤカラは何故こうも人に絡みたがるのか…。 「いや、別に…嫌がってんじゃないのかなと」 「はぁ?お前にカンケーねーだろ」 「まぁ、関係ないけどさ」 関係ないけど、見過ごす事も出来ないのが男ってヤツじゃないでしょうか?
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