タカも居ずまいから。

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「その…将来の事も考えて、出来たほうがいいかと思いまして」 私は母に対しても敬語寄りの話し方になる。 どうも緊張する。 それは、父に対しても同様で。 「料理教室…ねぇ。ああ、そうだわ、知り合いがやっている教室があるからそこに行ってみなさい」 「は、はい!」 母は何か思い当ったようで、許可が出た。 知り合いの教室…私の監視も兼ねてるんだろうなぁ。 それでもいい。 まずは第一歩。 数日後、母に言われた場所に行った。 そこは自宅で教室をしているそうで、マンションの一室だった。 なんだか、甘ったるい香りが満ちている。 インターホンを押すと、すぐにドアが開いた。 「いらっしゃい!そろそろ来ることかと思ってたわ。君江さんから話は聞いています。どうぞ」 君江とは母の名前だ。 私は、招かれた室内へと入って行く。
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