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私はまゆりと親交を深めつつ、お菓子教室に通いながら帰り道で高田さんに料理の話を聞きながら過ごしていた。
それで、お弁当を作って鳶さんに持っていけそうな目途がついたので鳶さんのアパートへ行った。
塾が終えてから来たので時間は21時を回っていたけど、鳶さんの部屋に明かりはついていなかった。
しばらく玄関の前で待つことにする。
扉の前にしゃがみ込んだ。
ちょっと待って帰ってこなかったら手紙を置いて帰ろう。
10分…
15分…
30分が経った。
ダメだ、さすがに帰ろう。
通報されたら困るし。
そう思った時に、人影が見えた。
男の人の声が2人分。
その人影が近づいてきたので、私は立ち上がった。
「あ」
鳶さんが短く声を発した。
私はぺこり、と小さくお辞儀をする。
すると、隣にいた男の人が鳶さんにグイグイ肘を押し当てていう。
「え、なになに知り合い!?」
鳶さんはうっとおしそうな顔をする。めんどくさそうに口を開く。
「あー…まぁ、ちょっと。ってか、こんな時間に何やってんの?」
鳶さんに不審そうに言われた。
それはそうかもしれない。こんな時間に押しかけてまで。
「あの、伝えたい事があって」
「なに、伝えたいことって」
幾分、そっけなく言われる。
「…明日はお仕事ですか?」
「いや…休みだけど」
やった!休みだ!!
「じゃ、お昼前に来ますので家に居て下さい」
「は?」
私は鳶さんの返事を聞くこともなく、サッと横を通り過ぎて家路についた。
返事を聞いてしまうと、断られるかもしれないから。
ちょっと卑怯だったかも。
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