タカも居ずまいから。

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今日のHRでは、隣の桐生学園との合同体育祭の話が出てきた。 「えー、君たちは1年生で初めての参加になります。うちの学校は女子高だけど、隣は男子校です。年若い男女が3年間異性と交流をせずに大学や社会に出ることは色々と問題があると言う事からこういった行事ごとに交流を深めるようになりました」 普段と違う雰囲気に流されて不純異性交遊などしないように、とかいろいろ注意事項が。 「せんせー、昔とは違うんだから女子高に通ってるからって彼氏居ないとかそんな時代じゃないよ??」 女子生徒の一人がからかうように言う。 「あー、まぁ恋愛は自由ではあるけれど羽目を外さないようにと言う事です。特に、恋愛において女性が受ける負担は男性の比ではありません」 どーいうことー?とか揶揄するようなちょっとやんちゃな生徒はどこにでも居る。 50代になっているであろう先生は男性教諭だ。 「先生のようなおっさんから言われると嫌悪感なども持つ子もいるかもしれませんが、これだけは言っておきたい」 いつもなんとなく気怠そうでひょうひょうとしている先生が、厳しい表情になった。 「君たちの体は、君たちにしか守れない」 どういう事だろう。 自分の身は自分で守る、と言うのは当たり前だと思う。 「まぁ…問題発言になりそうだけどここまで話したら言っておこうか。君たちのようにまだ16歳とか17歳で妊娠してしまった場合、選択は2つ。具体的には言わないけど、そのどちらを選んでも一番体にも精神的にも負担を受けるのは女性なんです。お願いです。先生は君たちの苦しむ姿はみたくない。自分の体を大切にして下さい」 先生はそう言うと、困ったように笑った。 それから切り替えるように今後実行委員など各委員を4時間目に話し合いましょう、といって教室を出て行ってしまった。 先生が出て行ったあと、それぞれの机で数人が集まってひそひそ話をする。 その話題はもっぱら、先生の発言について。
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