タカも居ずまいから。

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まゆりが小声で話しかけてくる。 「…蒼真はね、西園寺の妾の子供なの」 「えっ…」 そんな事聞いてもいいのかな? 「…黙っててもすぐに分かるよ。西園寺が蒼真をこき使ってるし」 本妻の子である自分に、妾の子が従うのは当たり前だと思っているとか。 「蒼真の家は母子家庭で、資金的援助も受けてないからって家計を助けるためにバイトしてるのよ。蒼真とはバイト先で知り合ったの」 へぇ… 「それで、年も同じだし話も合うから色々話してたら西園寺の名前が出てきたの。私は許嫁、蒼真は飼い殺しされているようなもので…」 ますます意気投合したと。 「私と蒼真は西園寺に取引を持ちかけた。私は愛華女子学院を、蒼真は桐生学園を卒業したら今後一切私たちには関わるなって」 それを西園寺さんは受けたんだ。 「あいつ、私たちがここを卒業するのは無理だと思ってるしね」 一番の問題は金銭面。 「絶対鼻を明かしてやるんだから」 決意を秘めたまゆりの声。 ああ、まゆりはすごいな。 目標に向かって頑張っている。 私よりずっと早くから。 そうこうしている内に、全部の席が埋まっていた。
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