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部屋の電気、ついてない。
今は18時半。
まだ辺りは明るい。
「・・・・」
どうしよう。家の前で待とうかな…。
あまり長い事アパートの周辺でうろうろしていたら不審者だし…
「あの、どうかしました?」
「っ!!」
不審者だし、と思った所で声をかけられて、声にならない声がでる。
「あ、ごめんなさい。驚かしちゃった?」
声の主を振り返ると、女性がいた。
活発そうな大きな猫目の、すらりとした女性だった。
「道に迷ったのかなーと思って声かけたんだけど、全然大丈夫だった?ごめんねー、私って結構早とちりで~」
人懐っこい感じでよくしゃべる女性…。その勢いに圧倒される。
「って、ごめん。私ばっかり喋り倒して口挟めなかったよね(笑)」
「あ、いえ…!大丈夫です!ご心配ありがとうございます!」
なんにせよ、私が心配をかけてしまったんだからこっちが悪い。
「礼儀正しい子ね~・・・って、愛華女子の制服じゃなーい!お嬢様かー!!お嬢様がこんな所うろついてたら危ないよ?」
そういうあなたこそ危ないのでは…と思った。
「いや…その、友達の家に来てみたんですけどまだ帰ってないみたいで」
「友達…?愛華のお嬢様にこんなとこに??」
「う…変、ですか?」
確かにこの地域に私の制服は浮いているかもしれない…。
「あ、ごめんごめん口から出てた?余計な事言っちゃうタチでねー。ねぇ、その友達の家ってどこ?」
「あ、このアパートなんですけど…」
「このアパート?」
うん?と首をかしげる女性。
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