タカも居ずまいから。

31/39
前へ
/102ページ
次へ
「亜紀良さん!!」 聞き覚えのある声が聞こえた。 私とその亜紀良、と呼ばれた女性が振り返る。 「あっ、トンビくんお帰り~!!」 亜紀良…さんが、鳶さんに向かって手を挙げて笑った。 「ちょっと亜紀良さん!親方がまだ帰ってこねーから見てこいって言うから何してるのかと思えば女子高生ナンパ!?」 「やぁねー、なんだか困ってそうだったから話しかけただけよぉ。ねぇ?」 「あ、はい…」 「ってなんだよ、鷹子じゃん。何してんのお前」 鳶さんと亜紀良さんは知り合い・・・? 「何、トンビ君の彼女だったの!?」 「ぇええ!?違います違いますっ!!」 私は必死に否定した。 そんなの、鳶さんに失礼すぎる!! 「何言ってんの亜紀良さん…いいから早く帰ってよ。親方うるさいし」 「分かったわよー。今度ちゃんと紹介してよぉ?みんなにはまだ内緒にしといてあげるから♪」 「はいはい」 鳶さんはそう言うと亜紀良さんに手を振って見送った。 「で、何してんの?」 鳶さんが私を見て言った。 髪の生え際が少し黒髪になっていた。 「…お久しぶりです」 「うん、でも今あんま時間ない」 「あ、すみません…あの、鳶さんはスマホ持ってますか?」 「…持ってるように見える?」 「分からないので聞きに来ました」 「…ストレートすぎ」 鳶さんが口元を抑えて言う。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加