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「あいつ何のバイトしてるかまで言ってんのか」
「全部聞いてる…と言うわけではないと思いますけど」
「そっか。俺とは最初であったのはラーメン屋。その後は焼肉屋に居酒屋に…」
指折り数えて語り出す蒼真さん。
「え、あの、そんなに一緒に働いてるんですか?」
「うん?地元で時給がいい所ってなると限られるしなー。俺とまゆりってバイトで知り合ったけど、割と近所なんだよ」
なるほど。
「あいつの家も色々あってさ、家の事なのにあいつに飛び火して気の毒だよ。俺も人の事言えないけど」
聞いてるんだろ?と言う目で蒼真さんは私を見た。
妾の子、という話の事だろう。
コクリと頷いた。
「それで、俺たちの間には協定が結ばれてるんだ」
「協定、ですか?」
「うん。どっちかが金に困った時、余裕があれば助ける。金銭関係ってトラブルになるかもしれないけど、その辺はきちんとしてるから安心できるんだ」
西園寺の呪縛から逃れるために。
「・・・・」
2人の間には深い絆があるんだなぁ。
きっと、私はそこには入れない。
入っちゃいけない感じがした。
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