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「……最近、あなた達が付き合い始めてから、私達と遊んでくれないことが増えた。
……初めは仕方無いと割りきっていたのだけれど、私はいつからか、その原因を直接作っている有明君に嫉妬心を覚えるようになった」
確かにその通りだったなと、私自身反省した。
同時に、こちらも疑いそうになっていたことが恥ずかしいな…
「だから、二人の中を少し敬遠してやろうと思ったら、大変なことになってしまって……
――その、ごめんなさい!!」
爽華ちゃんは小さな声を震わせ、その瞳には大粒の涙を浮かばせながら、素直に謝ってきた。
それだけで、今の私には十分だった。
「うん。素直にいってくれて、ありがとう。
こちらこそ、疑いそうになってごめんなさい」
私も素直に親友への不信を向けた無礼を謝った。
私の予想外の行動に、爽華ちゃんは少し戸惑ったが、相変わらずねと笑みを浮かべ、いつもの調子に戻った。
だが、反対に凪沙ちゃんの顔は厳しいままだった。
そして、凪沙ちゃんはゆっくりと私の突かれたくない核心を貫いてきた。
「で、有明君の事はどうするのよ、加奈?」
思わず、うっと言葉が詰まる。
しかし、私は二人に無駄な心配はさせまいと思い、笑ってごまかした。
「だ、大丈夫。私がフッたんだし…
そ、それより次の授業は理科室なの!
じゃあね、この話は帰りに!!」
私は、心配する二人から逃げるようにして、その場からそそくさと立ち去った。
しかし、胸元が無性に痛い…
ふと、私はそんな気分を紛らすため、窓を見つめていた。
仲間とはぐれてしまったのか、タイミングを逃してしまったのかで、学校に住み着いていた一匹の小鳥が、遠くの東の空に旅立っていった。
少しだけ、一君もあんな風に追いかけてくるのかと姿を重ね合わせて見た。
しかし、私は「彼」を最後まで見送るのが辛くなり、まどから視点を戻し、教室へと急いだ。
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