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「それじゃ、皆さよなら!!」
いつも、薫先生は最後まで癒しの笑顔を俺達に「プレゼント」してくる。
「薫先生、イイ!!」とか言っている男子とは違い、俺は思い腰をあげ、そそくさと教科書を鞄にしまい、帰りの準備をする。
ちなみに、俺は部活動に所属していないので、真っ直ぐ家に帰る事が多い。
そろそろ帰るかと思った時、クラスの中心的な女子三人に囲まれた。
そして、おまけにめんどくさい質問を口々に言った。
「有明君、荒巻さんと別れたって本当?」
「ドンマイ。知り合いの女の子紹介してあげよっか?」
「そ・れ・と・も、私達がいいの?」
最後の質問を言って、俺が答えていないにも関わらず、キャーと歓声を上げる女の子達。
はっきり言うと、化粧が濃くて、チャラチャラしているからタイプではなかった。
しかし、答えないにもいかず、喉元まで来ていた「一片に喋んな、鬱陶しい…」といいたいのを抑え、笑顔で質問に「答えてやった」。
「本当さ。それに、気持ちは嬉しいけど、大丈夫だから」
オレはそういって、三人に会釈して、どいてもらい、教室を後にした。
教室からは「つまんないの…」と聞こえるが、俺は「つまらない男」だから…
(いや、もうよそう。自分が空しくなるだけだ!!)
俺が再度、空元気で気合いを入れ直している時だった。
窓の隙間から吹く冷たい風に煽られ、「あの娘」の甘い臭いが鼻孔を擽(くすぐ)る。
顔を上げると、そこには自分の五歩先に「元カノ」の姿があった。
彼女は俺に会うことが予想外だったのか、ハラリと左手に持っていた参考書を落とした。
そして、二人共先程の図書室の時のように、見つめあった。
ただ、違うのは「元カレ」の目が死んでる事。
俺は、少しの間落ちた参考書を拾おうかと迷っていたが、
俺は
「………」
無言で立ち去った。 気まずくて、吐きそうで、ここにいるのが嫌だった。
それだけだった。今の俺は、知らない誰かにバカにされても仕方がないと思った。
俺は、そんな羞恥心を隠すためか、家まで走って帰った。
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