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走り始めてから何分たったのか?
俺は、絶妙な緑と白のコントラストが特徴的な二階建ての「わが家」の前で、膝に手をついて俯いていた。
「ハアハア…。着いたか…」
学校から家までずっと走り続けたせいか、体は熱いし、呼吸も荒く、滝のようなに流れる汗が止まらない。
そして、汗が額を伝い、目に入る。
「っ~」
俺は声になら無い小さな呻き声をあげながら、汗が目にしみるのを我慢して、鉄色の玄関を開けた。
「ただいま~」
玄関先で、そう呟く。
しかし、親は共働きなので、誰も「お帰り」と温かく迎えてくれる親はいない…
あんなことがあった後だから、俺はただ返事が帰ってこないだけなのに、少し空しく感じられた。
だが、返事が一つも帰ってこなかったわけではない。
一応、“意味のわからない言葉”なら、返ってきた。
「ウヘェっ!!それは、リナたんエロすぎだろ~」
その美声にあわず、気持ち悪い喋り方…
間違いない、“あいつ”だ。
その声を奴だと認識した俺は、持っているものを投げ捨て、リビングに陸上選手ばりのダッシュで向かう。
そして、黒いパーカーを来ている男に近づき…
「親の居ぬ間にエロゲーしてんじゃねェよ、アホ兄貴がぁぁぁ!!」
奴の頭を思いっきり、拳骨で殴った。
「ぶはぁ!!」
兄貴は変な叫び声をあげ、頭を押さえ、転げ回った。
しかし、兄貴はすぐさま立ち上がり、俺を睨み付けた。
「て、テメェ…大学から帰ってからの、俺のエロゲーライフを無駄にしやがって…」
知らねぇよ、そんなの?
俺は、心の中で呟き鼻で笑った。
「一めぇ、かくなる上は…」
その態度に触発されたのか、兄貴は拳をふりあげ、いきなり襲いかかってきた。
「よっ!!」
しかし、それよりも早く俺のパンチが兄貴の顎に炸裂した。
「ごはっ!!」
それを受け、精魂つきたかのように、床に倒れる兄貴。
毎度、兄弟喧嘩になるけど俺が勝っちゃうんだよなと思いだし、笑っていた。
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