俺のANSWER

6/8
前へ
/22ページ
次へ
しかし、俺が笑っていたのに気づいたのか、兄貴はパンチがクリーンヒットした顎を擦りながら、ムクッと起き上がってきた。 相も変わらず、打たれ強すぎるだろと俺はその打たれ強さに少し引く。 「いたた…全く、手加減しろよ…」 「健心(たつみ)兄ちゃんが昼間からエロゲーやるから、ダメなんだよ。ったく、人の気もしれっつーの…」 そういって、横目で俺は健心兄ちゃんの姿を一瞥する。 黒髪の短髪に、俺とは違うハーフの印であるブルーの綺麗な瞳。 親父と一緒の黒の瞳を持つ俺にとって、健心兄ちゃんのブルーの瞳は正直いって憧れている。 しかし、 「うっせー、バカ!!『レヴァリイア戦記』をバカにしてんじゃねよーだ!! ――って、いつみたいに突っ込んでくれよ、一…」 そう、彼はれっきとしたオタクであり、そのせいで大学でも少し浮いた存在となっている。 だが、俺がいつものようにエロゲーを馬鹿にしないのが、不思議に思ったのか、兄貴は俺の顔を不安そうに覗き込んだ。 俺はゆっくりと目を閉じ、今日の事を話した。 「俺、ふられたんだ…。しかも、見に覚えのない濡れ衣付きで…」 健心兄ちゃんはそれを聞いた瞬間、顔をうつむきにして、肩を震わせながら―― 「ざまぁ!!」 爆笑していた。小学生が間違えた子を徹底的に馬鹿にする勢いで爆笑していた。 流石にうっとうしかったので、背中に一発蹴りを入れてやった。 「っ~」 兄貴は痛みに顔を歪ませながら、突然真剣な顔つきで俺に言った。 「初心に戻れよ、リア充」 そういい放って、ポンと俺の頭に手を置いて、しばらくしてから、自分の部屋に戻っていった。 (初心ねぇ…) 俺は兄貴に言われたことについて考えていだが、少々疲れていたので、近くのソファーで寝ることにした。 そして、ソファーの上に横になり、夢の中へと意識を手放した。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加