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「一君、まだかなぁ?」
私は、約束通り今日の昼休みに1-4の空き教室の扉の前に立って、一君を待っている。
辺りを見回しても、彼らしい人はいない。 彼の姿が見えないと、不安に駆り立てられる。
でも、今日こそ私の答えを言うんだ。 落ち着いていこう、加奈…
私は胸に手を置いて、気合いを入れ直す。
そう、一君が来ないなら待てばいいのよ。
「よし!!」
私は勢いよくドアを開けた。
そこには、私の大好きな「元カレ」有明一君が左手に本を持ちながら、柱にもたれている。
そう、まるで私と最初にあった時のように…
彼は私に気づいたのか、大好きな笑顔で笑いかける。
私はその笑顔を見て、顔を真っ赤にしながら、壊れかけの玩具のようなぎこちない動きで彼に近づいていった。
そして、私は彼の近くまで行ったのだが、気恥ずかしさのため、彼と目を合わせれずにいた。
反対に彼は優しい眼差しで私を見つめる。
「あの…」
そんなやり取りに耐え兼ね、最初に口を開いたの私だった。
「ごめんなさい…。昨日の件は、私の勘違いでした。
本当にすみませんでした…」
普通なら、怒り狂うだろう。
事実、これまで私自身そんな風にしか男性を見ていなかった。
しかし、
「よかった。んじゃ、冤罪は晴れたかな…」
この人は私を一切咎めず、笑いかけてくれる。
私は彼のそういう気遣いが嬉しいから、この人の事が好きなんだろう。
「じゃ、本題に入ろうか…。
俺の“answer”について」
そして、彼の顔から私の大好きな笑みが消え、いつも以上に真剣な声に私もスカートの裾をギュッと握りしめた。
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