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俺は答えをいう前に、加奈に深々と頭を下げた。
加奈は突然の事に戸惑って、頭がテンパっている。
しかし、俺はそんな彼女をいじめるように俺の“答え”を言った。
「加奈の話を聞こうとしなくてごめん!!
突然でなんだけど俺は君が好きだ!!
綺麗な黒髪も…清楚な感じのする眼鏡も… そして、性格も… 今回みたいな早とちりなところもいいと思う。
バカみたいだろ、こんな事いってさ…。
でも、それでも、俺はもう一度加奈と―――」
「………るいよ」
俺の告白をうつ向いて、時折涙をみせながら、聞いている彼女の口が少しだけ動いた気がした。
そして、彼女はいつもの気弱な感じからは想像出来ない声を張り上げた
「ずるいよ、一君!!私が言いたいこと、言おうとして…
私だって……一君の事好き過ぎて頭おかしいもん!!
だから、一君私ともう一度付き合って…」
俺は敬語じゃなくなっている素の彼女が見れて、少し気圧されたが、もちろんその“答え”は…
「いいよ、俺でよければ…」
また、この返事かよ。バカだな、俺と心の中で毒づきながら、絞り出すようにして声を出した。
そして、二人ともその代わりばえのしない俺の“答え”にずっと笑ってしまった。
(結局、昨日の願った通りになったな…)
俺はガラでもないが、少しだけ神様に感謝した。
そして、この日有明一と荒巻加奈はもう一度付き合うことになった。
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