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俺達が再び付き合うことになって、数日後俺達は何とか無事にクリスマスを迎える事になった。
あの一件以来、加奈と俺との絆が深まったのか、定かではないが、前よりよそよそしい雰囲気はなかった。
嬉しいと言えば、嬉しいのだが、シャイな彼女を見れなくなるというのは少しだけ寂しい気持ちも正直ある。
そして、今日は加奈とデートの日。
公園が待ち合わせ場所なのだが、彼女はまだ来ていない…
「ジングルベール、ジングルベール、鈴がなるぅ」
不意に、俺の前を駆け抜けていった一人の男の子のクリスマスソングを口ずさむ声が聞こえる。
他にも、カップルのいちゃついた声や色々な人の声で賑わっている。
俺はその音を静かに聞きながら、さっきの男の子はまだサンタを信じてるのかと他愛もない話題を暇潰しに考えていた。
俺がサンタいないって知ったのは確か……
「一君、まった?」
「おおう!?」
俺は突然の声に動揺を隠せなかった。
しかし、顔をよく見ると俺の「彼女」の加奈であった。
そういった彼女は呼吸を荒らげ、顔も走ってきたのか紅潮している。
「ゴメン…クリスマスプレゼント選んでたら、遅くなっちゃって…
はい、これ」
そう言って、彼女が渡してきたのは綺麗な腕時計だった。
「おおー、カッケー。ありがとう、大切にするよ」
俺は彼女のクリスマスプレゼントに礼を言った。
しかし、
「俺、クリスマスプレゼント選んでないじゃん…」
ここ最近頭が忙しすぎて、それどころじゃなかった。
しかし、加奈はそんな俺を責めたりはしなかった。しかし、代わりにこれだけ言ってくれた。
「んじゃ、今年は“better・Christmas”だね。
来年は“happy・Christmas”になったらいいね、一君」
俺は苦笑を浮かべながら、来年こそは彼女を喜ばせてやるプレゼントをあげると誓った。
取り合えず、俺は「サンタ」にこの関係が長続きするようなプレゼントがほしいと願う。
FIN
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