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同時に、ビックリした拍子に、俺は尻餅をついてしまった。
「っ~」
ジンジンと俺の左頬は痛み、赤く腫れた。と同時に、胸の辺りもズキンと傷んだ。
俺の腫れた左頬を見て加奈は一瞬悪びれた様子を見せたが、俺をキッと睨むと、涙をみせながら踵を返し、図書室を後にした。
だが、俺は一つだけ気になる事があった。
(俺は、浮気なんかしてないぞ…。
どういう事なんだろう…)
そう、俺こと有明一には「元カノ」――荒巻加奈以外の女性と交際関係を作ってはいない…
ならば、何故彼女は俺のことを浮気者などと罵ったのか、腑に落ちなかった。
「頭痛てェ…」
疑問だらけで、俺の頭はパンク寸前だ。
一旦、気を落ち着かせるため、俺は今日の日付を確認するため、カレンダーを見た。
12月17日…… ちょうど、クリスマスイブの1週間前…
しかし、今の俺が言えるのは……
「『クリスマスプレゼント』が早すぎんだよ、サンタのアホォォォ!!」
俺は、静寂な図書室で思いっきり大声で叫んだ。
しかし、次の瞬間大勢の人に睨まれたのは、今でも覚えている。
だが、そんな事よりいち早く彼女の誤解を解かねばならない。
そして許されるなら、もう一度やり直したい…俺はそれだけを心に固く誓い、冷ややかな目背を感じつつ、図書室を後にした。
心なしか、先程の胸の痛みは消えていた。
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