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俺はその声の主の方向に怪訝そうに振り返る。
やっぱりか、委員長…
俺より背が小さい委員長は、わざとらしく俺を哀れむような目で見あげた。
いつになく、委員長のコアラ顔の鼻が広がる。
俺は、キレるかとコアラ顔を馬鹿にしようかと一瞬迷ったが、適当にあしらうことにした。
「そうだね」
これでどうだと思ったが、奴は自慢の茶髪の坊っちゃんヘアーを弄りながら、問題ないといった様子で、さらに続けた。
「やはり、彼女もあなたみたいな金髪に黒の『メッキ』を入れたチャラチャラした人とはやっていけないと思ったのですね」
そう、俺はそこら辺の不良みたく、髪が金髪に黒の「メッシュ」みたいになっていて、女の子には、不良少年の様に見えるが、俺自身一度も非行行為は行った事はない。
てか、「メッキ」?
こいつ、馬鹿だろ!? 「メッキ」じゃなくて、「メッシュ」な…
俺は、自信満々でいう委員長のプライドを傷つけないよう、笑いを堪えながら、俺の髪が「メッキ」な理由を教えた。
「生まれつきだから、しょうがないだろ…。
俺、日本人とイギリス人のハーフだし…」
俺は、笑ってごまかすように、委員長にはにかんでみせた。
委員長は、そんな俺の態度が気にくわなかったのか、フンと鼻をならし、不適な笑みを浮かべ、去り際にこういった。
「私が荒巻さんに告白して、OK貰えたら、髪を黒に直してきて下さいよ、いいですね?」
万が一でも、あるわけねぇだろと俺は言いそうになったが、何とか喉までで踏みとどまらせた。
「そうだね」
俺は、最後まで委員長を適当にあしらった。
結局、言えるのは委員長を相手にするのはダリぃ…
委員長を長々と相手にし過ぎたせいか、俺は盛大に自分のイスに腰掛け、休むことにした。
「加奈、どうしてふったんだよ?」
加奈の事を考えて、五時間目の初めまで寝ることにした。
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