交差する思い

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「一君…」 私――荒巻加奈は先程私が強引に別れさせた元カレ「有明一」君の事を考えていた。 一君、辛そうな顔してたな… やっぱり、理由を教えた方がよかったのかな? でも…悪いのはあっちだし… 私は無意識の内に、傷む胸の上に手を置いていた。 そして、私は苦し紛れに一つ大きく溜め息をついた。 「あ~!!私のバカァ!!」 私は、自分でも訳がわからず、自分の頭をこれでもかと殴った。 本ッ当、私のバカ… 今さら、後悔してもどうにもならないのに… 私は再度、一君の辛そうな顔を想像してしまい、瞳から涙が溢れてできた時だった。 「加奈じゃん、どったの~」 「………回りから痛い目で見られている加奈。……65点」 非常に元気で軽い声と蚊の鳴くような声だが、可愛い声が私の耳に聞こえてきた。 振り返ると、赤髪のツインテールの元気一杯な女の子と、茶色のカチューシャを付けた緑髪のショートカットの静かそうな女の子が話しかけてきた。 二人共、私の親友で赤髪の元気な子が、雪村凪沙(ゆきむら・なぎさ)ちゃんで、静かそうな緑髪のショートカットの女の子は、大谷爽華(おおたに・さやか)ちゃん。 ちなみに、一君の一件は爽華ちゃんに相談した。 「凪沙ちゃん、爽華ちゃんこそ、どうしたの?」 私は右手で涙を吹き、笑顔で尋ねた。 と途端にあからさまに、口笛を吹いた爽華ちゃん… 何か、隠してるな…と簡単に予想できた。 「爽華、言わないの?んじゃ、あたしからいうよ… 」 いつもの軽い調子とは、裏腹に真剣な表情を見せる凪沙ちゃん。 私もいつになく、真剣な表情の凪沙ちゃんを見て、ゴクリと生唾を飲み込んだ。 「実は…」
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