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――世界には、何故悪意という物が存在するのだろう?
何度私は、自らにそう問いかけただろうか。
――世界とは、何故こうも醜いのだろう?
何度私は、自らにそう問いかけただろうか。
――世界とは、何故歪みを認識せぬまま広がっていくのだろう?
何度となく、私は自問した。
一年半。
決して短くは無い時間を、私は徒に停滞し続けた。
考えれば考える程。
意識すれば意識する程。
愚鈍な思考が泥沼に嵌っていくのが分かる。
それでも、考える事を辞められない。
辞める訳にはいかない。
もしもソレを止めてしまったら、何かが壊れてしまうような気がしたからだ。
景色は移ろいでいく。
時間は過ぎていく。
私は考える。
しかし、答えが見つかる事は無かった。
代わりに。
私は、ある考えに辿り着いた。
答えが無いのなら、見つけ出せばいい。
どんな手段を使っても、世界から答えをあぶり出してやる。
そう。
復讐。
私は、世界に、社会に、大人に、彼の光を奪ったあいつに、復讐してやる。
そう決意した瞬間、止まっていた時計は再び動き始めた。
それは、時が刻む復讐劇の開幕。
終末へと続く静かな前奏曲。
例えどのような結末が待っていようとも――
「――もう、止められないから」
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