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翌日。
疲労からくる重たい身体を起こし、タバコに火を付け一服する。
このタバコから真司の一日の始まりだ。
タバコをゆっくりと深々と吸い終えると、ロボットの様に次々と身支度を進めていく。
歯を磨き、洗顔、そしてスーツに袖を通し、ビジネスバッグを掴む。
変わらない日常。
何を思う事なく真司は部屋を出る。
しかし一歩外へ出てみると真司にとって大きな変化があった。
変化というよりかは異変というべきか。
玄関扉の向かい側にある、落下防止の為に取り付けられている錆び付いた鉄柵に、一人の少女が俯きながら体育座りでもたれかかっていた。
ー 何だ…?この子? ー
玄関の鍵を閉めながら、真司は迷っていた。
声をかけるべきなのか。
平日の早朝に少女が一人でいる事自体が不可解であるにも関わらず、この少女は人様の住まいの前で座り込んでいる。
どうするべきなのか。
真司は鍵を閉めたまま、少女に背を向けながら立ち尽くしていた。
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