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「おはようございます」
モヤモヤとした気持ちのまま、力ない声で挨拶を同僚達と交わしながら、真司は自分のデスクに腰掛けた。
ー 帰ったかなぁ…? ー
あの寒空の下で少女は何故あんな所にいたのか?
考えれば次から次へと出てくる疑問。
そんな少女が気になり、業務にもまともに手がつかない。
「はぁ…」
無意識に一つため息が漏れ、ぼーっとデスクを見つめていると、真司の背後から男が声をかけた。
「おはよう、大平」
声の主は課長である松本だった。
「あ、おはようございます、課長」
真司の気のない返事に松本は苦笑いを浮かべた。
「なんだ? 疲れた顔して?」
そこまで表情に現れていたのか、真司は両手で顔を擦るように、その場を誤魔化そうとした。
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