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「ねーねー、何する?遊びたい」
着替え終わったOAと疲れ果てた俺はリビングにいた。
「うるっせぇな!勉強中なんだ静かにしろ!」
新学期早々勉強するなんてガリ勉か、と思われるかもしれないがそれは違う。
俺が勉強しているのはプログラミングだ。将来そういう職業につき、ゲーム制作にたずさわりたい。
「むずかしいことはいいよ。おなか減った」
ひょこひょこ動く銀髪娘を向かい側に座らせ、持っていたシャーペンを置く。
「お前文字書けるのか?」
「ううん」
なんだって。
こいつやはりただの小学生ではなさそうだ。
「どっから来たんだ?」
「チェーンズの施設から。逃げてきました」
「逃げてきた?なんでだ?」
すると一瞬OAは眉を潜めたが、また元のすました顔に戻った。
「こわい。チェーンズの施設はこわい」
チェーンズはあまり有名ではないが、確か薬を生産している会社だったか。
その会社の施設?なんの話だ?
「お前、ずっとその施設で暮らしてたって事か?」
「うん。ていうか『お前』ってなに」
ジドー、と疑うような目をむけられ、思わず目をそらした。
こいつ、『名前で呼べ』と遠回しで言ってきやがる。
「えーと、悪い悪い。OA?」
「はい」
満足げだが、どこか顔が浮かない。
「つかOAってなんだよ。名前ぽくねぇ。別の名前ねぇのかよ」
ガシガシと自分の黒髪を掻き、OAの銀髪を見た。
この髪の色、本当に日本人…いや人間か?
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