1人が本棚に入れています
本棚に追加
なんなんだ………?
どういうことなんだ?
「…ん」
アオが眠たげに起き上がった。
アオが寝ているソファーや、俺が寝ていたカーペットはそのままだが、他の家具がきれいさっぱり無くなっている。
ガランとしたリビングに呆然と佇む俺の手を、アオが握った。
「おはよう。れん、どうしたの」
「いや、どうしたもこうしたも…家が…」
「すっからかんだね」
アオは俺から離れ、風呂場へ走った。
「わたしのワンピースがないよ」
「ワンピースも…?………俺の荷物は!?」
フローリングに滑りながらも部屋までたどり着き、ドアを勢いよく開けた。
脱ぎ散らかした制服とカバンが床に置いてある。
が。
「何もねぇ………」
ベッドも机もカーテンも棚も全て綺麗さっぱり無かった。
カバンの中を覗くと、昨日学校に持って行ったものがそのままある。特に変わってない。
制服も昨日のままだ。
「なんだよこれ…」
「チェーンズの追っ手だよ」
いつのまにかアオが背後に立っていた。
「追っ手?だとしても、どうやって部屋に入ったんだよ。鍵かかってたぞ?」
「わかんない。でもチェーンズのにおいが残ってるから追っ手で間違いない」
におい…。犬かよ…。
「なんでわざわざ家具を……」
「たしかめにいく?」
皮肉めいた微笑を浮かべ、アオは後ろで腕を組んだ。
「確かめるって…何を?」
「チェーンズが犯人か、施設までいくかってこと」
「……」
つまり直接殴り込みに行くということか。
「……そうだな。行くか」
最初のコメントを投稿しよう!