桐生蓮という平凡(?)な高校生の非日常

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デパートに着いた。 俺は暖かさに涙が滲みかけたが、アオが興味を抱いたものを片っ端から取ってくるので悠長にしていられない。 平日ということもあり、客が少なくガランとしていた。 ……そういえば学校に何も連絡していない。1日くらいなら平気だろう…。 「お前足のサイズいくつだ?つか何歳だよ?」 「わたしは10歳」 10歳なら18センチくらいか? 「これ履いてみ」 (俺的には)可愛いスニーカーを選び、アオが履いていた手袋を脱がせてスニーカーを履かせた。 「ぶかぶか」 じゃあ17センチか。小さい足だな。俺が28センチだからかなり差があるな。え、10センチ以上も差があるのか? 「これがぴったり」 17センチの靴の爪先をトントン床につけ、満足げに笑う。 …こいつの笑い方はいつもどこか皮肉めいているな。 本当に笑ったことなんてないのかもしれない。 「ねえ」 アオがちょいちょいと俺の服の裾をつついた。 「なんだ?」 「これもらえるの」 つまりこいつは、この靴がタダで配布されているモノだと思っているのだろう。しかし世の中はそんなに甘くはない。 もちろん俺が料金を払うが、全て解決したらお金はチェーンズから返してもらおう。利子込みで。 「…貰っとけよ。俺ちょっと向こう行くわ」 「どこに行…」 アオが言いきる前にささっとレジに行き、金を払い、お釣りを貰う時にレジのお姉さんの手が触れた事に少し喜びながら、アオのもとに戻った。 俺って紳士だ…。彼女ができたらこの方法を使おう。 「じゃあ次は上着だな。ユ●クロのでいいか?」 「なんでも」 靴の箱(もちろん空)を気づかれないように棚に戻し、俺たちは颯爽と靴屋をあとにした。(よい子はマネするなよ!)
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