桐生蓮という平凡な高校生の日常

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「おはよう!」 下駄箱でトンッと背を叩かれ、視線だけ後ろにやる。 「七海か、おはよう」 挨拶してきたのは、クラスメイトの菅谷七海(すがや ななみ)。 席が隣のため、比較的女子の中では話すほうだ。幼稚園・小学校が同じだったのもあるだろう。…そういえば中学も一緒だった。つまり幼なじみということだ。 「今日新しいシュシュなんだよ。どう?似合う?」 そう言ってポニーテールを揺らしながらシュシュを見せてきた。青いギンガムチェックのシュシュ。 「まぁ…似合うと思うぞ」 「そう?ありがと!」 またね、と手を振りながら去っていく七海に片手を挙げ、下駄箱の戸を閉めた。 七海には彼氏がいる。 別にどうでもいいことだ。幼なじみ同士の恋愛なんて現実ではあり得ない、少なくとも俺はそう思う。
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