茶飲み友達

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茶飲み友達

野々村とあんずが茶飲み友達となって、野々村の生活は一変したとは言いすぎかもしれなかったが、小さな積み重ねが小さな幸せを運んできてくれた。 それは風が季節の薫りを運ぶように、ささやかなものであったが、色のない世界をただ、がむしゃらに生きてきた野々村にとっては心地のよいものであった。 「ののじぃ」 「おう、来たか」 玄関先で煙草を吹かしているとランドセルをしょったあんずが手を振りながら走ってきた。頬を赤く染め、飛び跳ねる肩口のおさげがかわいらしい。 「今日はあったかいから、陽なたぼっこ日和だね」 「そうさ、だからこうしてタバコを手に甲羅干ししているんだよ。亀と一緒だな」 タバコを片手におどけて言うと、あんずは一瞬考えて笑いだし、「ののじぃの顔をした亀さん……は可愛くないかも……」と言った。 「人面亀か…ニュースのネタぐらいにはなるかね」 野々村はそう笑って、タバコの火を消した。 いつしか、当たり前になっているぐらいに自然で、温かな存在に野々村は癒され、あんずは野々村に少しづつ心を開いていった……。
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