茶飲み友達

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野々村の家に来て、あんずがまずすることはその日の宿題だ。少ないと学校にいる間に終わらせてしまうようではあるが、わからないところは野々村に尋ねるときもある。 いつも嬉しそうに宿題をするあんずに「勉強が好きなのか?」と問い掛けたら「ののじぃが教えてくれるからうれしいの」と、答えが返ってきて、くすぐったい気持ちになった野々村である。 この日も、人面亀の話でひとしきり笑ったあと、野々村とあんずは場所をいつものテーブルに移動して、野々村は緑茶を。あんずは水筒のお茶の残りをのみながら宿題をはじめた。 まだ二年生のあんずのプリントやドリルはさほど難しいものではなく、請われるままに野々村は勉強をみてやっていた。 「うちじゃ、お母さんは忙しいし。お父さんは遅くにしか帰ってこないから」 ポツリと、宿題をしながら呟いたあんずのその言葉は、寂しい……と。直接の言葉ではないが、そう聞き取れた。 「そうか……」 野々村は頷いて、茶を飲んだ。あんずは笑って、 「でも平気。私、お姉ちゃんだし」 と、言った。それは自分自身に言い聞かせているようでもあったが、「そうか」と、野々村は頷くだけだった。
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