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スナップエンドウは塩ゆでにして、結局、お茶のつまみになってしまった。
「おいしい」
「本当だ」
うっかり摘んでしまったのが、運の尽きとでも言うのだろうか。少しだけと思っていたが、けっこう食べてしまっていた。
「うっかり、食べちゃったね」
「まぁ、いいじゃないか。晩ご飯はまた、適当に食べるよ」
野々村は冷蔵庫の中のものを思い出しながら、あんずの髪をくしゃりと撫でた。
「お漬物とご飯だけとかじゃないよね?」
頭を撫でられたことに、照れくさそうに笑いながらも一人前の口調であんずに指摘され、野々村は頭をかいた。
「ばれたか」
「バレバレだよ」
真面目な顔でお互いの顔を見て、ぷっと吹き出したのはどちらが先だったのか。ひとしきり笑って、
「ばれちゃ仕方がないな。エンドウと高野と炊くかな」
と、野々村は立ち上がった。
「こうや……?」
不思議そうに聞くあんずに「高野豆腐、食べたことないか?」と、野々村は台所の収納扉をあけながら言った。
「凍り豆腐ともいうがな」
カサカサと軽い音の鳴る袋を見せるが、あんずは怪訝な顔のまま。
「かたそう……」
と呟いた。
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