茶飲み友達

5/15
前へ
/33ページ
次へ
スナップエンドウは塩ゆでにして、結局、お茶のつまみになってしまった。 「おいしい」 「本当だ」 うっかり摘んでしまったのが、運の尽きとでも言うのだろうか。少しだけと思っていたが、けっこう食べてしまっていた。 「うっかり、食べちゃったね」 「まぁ、いいじゃないか。晩ご飯はまた、適当に食べるよ」 野々村は冷蔵庫の中のものを思い出しながら、あんずの髪をくしゃりと撫でた。 「お漬物とご飯だけとかじゃないよね?」 頭を撫でられたことに、照れくさそうに笑いながらも一人前の口調であんずに指摘され、野々村は頭をかいた。 「ばれたか」 「バレバレだよ」 真面目な顔でお互いの顔を見て、ぷっと吹き出したのはどちらが先だったのか。ひとしきり笑って、 「ばれちゃ仕方がないな。エンドウと高野と炊くかな」 と、野々村は立ち上がった。 「こうや……?」 不思議そうに聞くあんずに「高野豆腐、食べたことないか?」と、野々村は台所の収納扉をあけながら言った。 「凍り豆腐ともいうがな」 カサカサと軽い音の鳴る袋を見せるが、あんずは怪訝な顔のまま。 「かたそう……」 と呟いた。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加