茶飲み友達

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思わず吹き出した野々村であったが、炊いた高野豆腐しか見たことがないのであれば、致し方ない話だろうと、笑いを引っ込めた。もしかしたら、今の若い子たちは乾物なんて食べないのかもしれない。 「だし汁を吸って、軟らかくなるんだよ」 からからと、小どんぶりに高野豆腐を数個をいれて電気ポットのお湯を入れた。有り難いことに最近の高野豆腐は一口サイズのものが売っており、野々村でも調理しやすく重宝していた。 「お湯はなんで入れてるの?」 「早くふやけるんだよ」 ほかほかと湯気をあげる高野豆腐を覗き込み、あんずは「あんまり、おいしそうに見えないね……」と呟いた。 小どんぶりに麺つゆとみりんを入れて、さらに残っていたスナップえんどうを入れて蓋をした。 手が動きにくくなってから、何気なく使っていたラップが、実に細やかな動きを必要とするものなんだと野々村は知った。例えば、ラップを切るときの手首の切り返しとか、丸まってしまった時の対応だとか。 世の中は便利になったはずなのに、野々村は年とともに不便になっていく自分が可笑しくて、悲しい時がある。卑屈な妄想でしかないが、ひとりだから余計にそう思ってしまう。
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