茶飲み友達

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――年寄りは残された日数は少なくても、一日のうち自由に使える時間だけはある。 野々村は最近、そんなふうに思う。 すべての人に等しく一日は24時間あるが、歳を取れば24時間を長いと持て余し、若いときは足らないと嘆く。しかし、あんずを見ていると、そんなことなんて考えずに、暗くなるまで夢中で遊んだ時代があったことを思い出す。 チン! 電子レンジが軽やかな音をたてて、出来上がりを知らせた。 「できたようだ」 電子レンジをあけ、熱い器をタオルで挟んで慎重に持ち上げた。 「わゎ……」 ワクワクとした顔で、あんずは野々村の手の中のどんぶりを見つめた。 慎重に机におかれたどんぶりのフタをあけると、勢いよく蒸気があがった。ひとしきり白く熱い湯気が立ち上ってしまうと、小どんぶりのなかにはだし汁を吸って、一回り膨らんだ高野豆腐と色鮮やかなスナップエンドウがほかほかと煮えていた。文字通りのスピード手抜き料理だ。 「わ、おいしそう…。スゴいね~」 ニコニコと笑うあんずに野々村は、 「なに。ただの男の手抜き料理さ」 と、苦笑した。
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