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僕とエルガは長い廊下を黙って歩いていた。貴族の女性にすれ違う度にこちらを何度も見ている。ナルシストのような発言に聞こえるが僕は断じて違う。
僕を見てはヒソヒソと話し、また見ては内緒話をする。つまり無限ループ状態。これを気付かない人は相当な天然か何処か浮いてる人だ。
そんな事を考えていると貴族の女性達はエルガと僕に話しかけてきた。
「エルガ様、こちらにいらっしゃる殿方は誰なのでしょうか」
その女性は僕をちらっと見ながら恥ずかしそうにエルガに聞いた。
「神聖な湖にいた不審者だ」
ふ、不審者…。どうしよう何故か悲しくなってきたよ。色んな意味で涙出そう。
「まぁ、そうだったんですの。あまりにも恰好良い殿方なので新しい王宮兵士かと思いましたわ」
しかも男に間違われてるし…。やっぱりさっきのは聞き間違いじゃなかった。殿方=男、だからね。
「それでは失礼する」
僕はなんて弁解すればいいのだろうか…?先が真っ暗だよー…。そんな事を考えながら暫く歩いていると突然エルガは立ち止まった。どうやら目的の場所に着いたようだ。
「着いたぞ。くれぐれも失礼のないように」
僕はルージュ陛下という偉い人にご対面するらしい。
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