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「失礼致します、ルージュ陛下」
「おお、エルガか。今日は何用で来た」
この人がルージュ様か。紳士的で何処か不思議な人だ。年齢は30代後半、って初対面の人に失礼だな。
「神秘の湖にいた不審者を捕まえたので連れて来ました」
「あの場所にか。それはいかんな…」
ルージュ様は少し唸ると僕を見ると「そなたの名は」と静かに聞いた。そういえば名前を言ってなかった。
「滝水 海哩です」
「何故、湖にいたのだ」
「……」
どうしよう。なんて答えようか…。本当の事を言ってルージュ様は信じてくれるのだろうか。
「海哩、黙っていては何も分からない」
理由を聞かれ黙ってしまった僕を少し不審そうにエルガは聞いた。
「エルガ、ルージュ様。今から話す事を信じてくれますか…」
エルガは無言でこくりと頷くのを見たルージュ様は「話してみなさい」と優しく言ってくれた。ほんの少しだけど緊張が無くなった気がした。
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