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「琉梨、仁…大丈夫」
二人を引っ張って走って逃げて来た為か少し息が乱れている。特に琉梨が。まぁ、仕方がないんだけどね。
「わ、私は大丈夫だけどやっぱり慣れないや」
「俺もだ」
僕にとってあのようなナンパは初めてじゃないし何度もある。しかし今回みたいにしつこいと少し手荒だが木刀で気絶させてから逃げているパターンが主だ。
そういえばよく捕まらないよな僕。今思うと補導とかされそうなんだけど。
「…哩…」
「何か言ったか仁」
「いや、なんも」
「海…く…」
何か声の主が近付いてないか。1人じゃなく大勢の声…しかも声が高い女性の声のような。まさか…ね。
いや、だって起きて欲しくない事が起きそうな嫌な予感しかしないし。切実に幻聴であって欲しい。
「「「海哩君ーっ」」」
ちょっと待て、待たなくて良いから聞け。なんで僕の名前を知っているのさ。しかも、知らない女子共が大勢いるし。僕が知らないのに赤の他人が本人の名前を知ってるって明らかに可笑しいだろ。しかも大勢で僕の名前を呼びながら走ってくるとかホラー過ぎるんだが。
ただ分かった事は僕が非常に危機的状態だということ。どうしよう…今物凄く現実逃避したい。
というより現実的に有り得ないでしょ。
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