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「初めまして。私、さっき海哩君が女子高生を木刀で倒したの見たの。恰好良くて一目惚れしたのっ」
「その子と同じくアタシも一目惚れなの」
「容姿最高で剣道強いし、しかも頭も良いし全部惚れた」
「碧岳蟇目中だもんね、凄いよ~」
「あ、の…僕非常に困るんだけど。止めて貰えないかな」
苦笑いを通り越してひきつり笑いになってしてしまう程かなり困っている。というより焦っていると言った方が正しい。
「だって友達でもいいからなって欲しいもん」
「学校で会った時からずっと前から好きだから気になるんです先輩」
「大会の時しか会えないから二度と会えないかもしれないじゃない」
「君達の気持ちは嬉しいけど…」
弱った、どう切り抜けるべきか。また僕の後ろにいた琉梨の方を見て良いことを思い付いた。琉梨には悪いけどこの際仕方がない。
「悪いけど僕には既に可愛い彼女がいるんだ。だからあまり君達と話していると妬いちゃうんだこの子」
少し背の低い琉梨を後ろから抱きしめ不敵ににやりと少し笑った。男装しているとは女の僕がやると何か虚しい気がする。
「か、海哩…何して」
突然の事に驚く琉梨の耳元で僕は小さくこう言った。
「この場を早く去りたいから今だけ僕の彼女のふりをしていて欲しいんだ。ごめん」
琉梨は分かったのかこくりと小さく頷いた。どうやら協力してくれるようだ。
「私達もう恋人同士なの、ごめんなさいね」
「そういう事。悪いね」
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