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「ーっ…」
「海哩、機嫌が悪いように見えるんだが」
「機嫌悪いけど」
明らかに不機嫌なオーラ全開な僕を見てエルガは苦笑していた。その後は暫く口を閉ざし黙っていたエルガが口を開いた。
「すまない…先に告げておけば良かったな」
「何を」
僕は足を止めその場で聞いた。分かっているけれど少し苛々していた為わざと聞き返してしまった。ごめんエルガ。
「先程の男はクローズ・ルーベリア男爵。キス魔として有名で危ない奴だ」
「じゃあ何で僕に…男の僕にしたの」
本当は男じゃないけど男装をしているから女って敢えて言わなかった。正確には言えない。もしキス魔が僕の性別を見抜いていたのなら話は別だけど。それは無いと思いたい。
そう考えていたけどエルガが言った言葉は予想外な言葉だった。
「可愛い奴なら女性、男性関係なくするらしい」
「……は?」
驚きのあまり間抜けな声で返事を返してしまった。つまり可愛ければ見境なしってことですかー。
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