忘れられない過去

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  「な、なんでもないよ」 「海哩の言う通り、男爵に用はない」 早くこの場から去りたい!1秒でも早くキス魔から逃げないと身の危険がある。僕は内心かなり慌ててるのと裏腹にキス魔は嬉しそうにこう言った。 「そうですか、それは良かった。では遠慮なく頂戴するとしましょうか」 「頂戴するって何、を…」 いや、だいたい予想はしているけど当たるなよ…勿論当たって欲しくもない。勘が当たったら逃げなきゃいけない。 「頂戴するとは海哩の唇に決まっているではありませんか…」 キス魔は確か男爵だよね?こんな奴が男爵で良いのかルージュ様。ルベリオン城の未来が危うい気がする…。 ってそんな事をあれこれ考えている暇はない! そんな事はお構い無しにキス魔は僕に近寄って来ていた。じわじわと距離を縮めながら…。
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