2080人が本棚に入れています
本棚に追加
木工室を飛び出したあたしは、そのまま屋上へと飛び込んだ。
「何で……何でこうなっちゃったの?」
張り巡らされた緑のフェンスの前で、あたしはその場に崩れ落ちた。
どうして、あの画像を玲央が持ってるの?
考えても考えても、わからない。
「キスなんて……浮気なんてしてないのにッ」
溢れ出す涙を止められない。
羅刹のことを玲央に言うわけにはいかなかったから、あの画像を否定することもできなかった。
悔しくて、余計に涙が溢れる。
「もう玲央は、あたしのこと好きじゃないのかなぁ……」
悲しくて、苦しくて、どうすることもできない。
あたしが一人で泣いていると、不意に屋上のドアが開いた。
驚いて振り向くと、そこにいたのは……
「亜夢……?」
あたしの呟きに、亜夢は小さく微笑んだ。
「美愛ちゃん、大丈夫?」
「うん……どうして亜夢がここに?」
「美愛ちゃんが心配だったから、ずっと探してたの。やっぱり美愛ちゃん、泣いてる……」
そう言って、そっとあたしを抱きしめる亜夢。
「亜夢……あたし、どうすればいいのかわかんないよッ」
亜夢の胸の中で、あたしは自分の想いを吐き出した。
最初のコメントを投稿しよう!