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「何であいつらが美愛を拉致ったのかはわからない。俺たちはそんな命令はしてないし、今は暁を敵視してるわけでもない」
「じゃあ、理人は本当に何も知らなかったの?」
あたしの言葉に、大きく頷く理人。
理人たちじゃないってことは、黒幕は羅刹とは関係ない人物、か……
あたしはギュッと唇を噛み締めると、ゆっくりと立ち上がった。
「助けてくれてありがとね。……今日のことは、玲央たちには黙っておくから」
あたしがそう言うと、驚いたように目を見開く理人。
「いいのか?お前を襲おうとしたのは、羅刹の人間なんだぞ?」
「そうだけど、羅刹として動いてたわけじゃないんでしょ?それに、理人が助けてくれたし」
あたしがそう言うと、「ありがとう」と理人が頭を下げた。
「じゃ、あたし帰るね」
「あぁ、気をつけてな」
そう短く言葉を交わし、あたしは近くに落ちていた荷物を拾って部屋を出た。
……そういえば亜夢、どうしたんだろう?
まさかまだクラブにいる、ってことはないよね?
心配になってケータイを見ると、まず目に飛び込んできたのはものすごい数の着信。
もちろん、そのほとんどが大雅の名前。
まぁ何の連絡もせずに帰らなかったからね。
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