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羅刹の一件があってから、三日が経った。
亜夢には、あの日体調が悪くなって先に帰ったとごまかして、謝っておいた。
玲央たちも至って普通だったから、多分バレていないはず。
もしもあのことを玲央たちに知られたら、きっと羅刹は今度こそ潰されてしまう。
だから、あたしは黙っておこうと思ったんだ。
「玲央、生徒会室行こ」
放課後、あたしは荷物をまとめ、いつものように玲央に声をかけた。
「……あぁ」
しかし、玲央から返ってきたのは気のない返事。
「ちょっと玲央、聞いてるの?」
「……あぁ」
「生徒会室、行かないの?」
「……あぁ」
「れーおー」
「……あぁ」
「あ、UFOだ!」
「……あぁ」
……ダメだ、こりゃ。
最近玲央は、よくこうなる。
時々何か思いつめたような深刻な顔をしているから、最初は羅刹のことがバレたのかと思ったけれど。
でも、どうやら違うらしい。
「……美愛?」
「ん?何?」
急に玲央に話しかけられ、あたしはコテっと首を傾げた。
「……いや、やっぱ何でもねぇ」
「え、何それ!?」
玲央の言葉に、思わずずっこけるあたし。
何か言いたいことがあったんじゃないの?
そう思ったけれど。
「ほら、さっさと生徒会室行くぞ」
スタスタと何事もなく歩き出した玲央を見て、あたしは大きなため息を吐いた。
はぁ、さっき散々あたしが急かしてたのに……
一体どうしちゃったんだろう、玲央?
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