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「……そうか、否定しないんだな」
黙ったままの美愛に、俺は冷たく言い放った。
「美愛はこいつと浮気してたんだな?だから……」
「そんなことしてない!それに、浮気してるのは玲央の方でしょ!?」
美愛の口から出た思いがけない言葉に、一瞬俺の動きが止まる。
俺が……浮気?
「どういう意味だ」
俺が聞くと、美愛は涙をいっぱいに溜めた瞳でこちらを睨みつけた。
「玲央はッ……亜夢のことが好きなんでしょ!!」
「……は?何言ってんだよ」
「だから昨日、亜夢に告ったんでしょ!?自分のことは棚に上げて、何なのよ!!」
そう叫ぶと、美愛は勢いよく木工室を飛び出していった。
「……マジ意味分かんねぇ」
一人残された俺は、額を押さえながらため息を吐いた。
俺が藤堂のことが好きで、告白した?
何でそうなってんだよ?
……ダメだ、意味分かんねぇ。
とにかく、今は美愛があの画像について否定しなかったことがショックすぎて、何も考えられない。
「……藤堂が言ってたこと、ホントだったんだな」
そう呟き、自嘲気味に笑う俺。
もう、何もかもどうでもいい。
俺は床に座り込み、そっと目を閉じた。
――玲央side END――
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