俺と変人は幼馴染み

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「はぁ…はぁ…」 朝から何も食わずの全力疾走。本当に俺は何をしているのだろうか 俺の背後には相変わらず直立不動の布団を巻いた宇宙人がいる 顔を上げると見えないけどなんとなく視線が重なったような気がした 「ナイスラン」 蹴り飛ばしました。はい、布団部分をおもりきり 二回跳ねて地面に倒れる 「いたた…いきなり何するのよ!!」 倒れた衝撃で布団を縛っていた紐が切れたのか布団からそれは可愛らしい女の子が現れた 日本昔話ならとてもいい娘になるんだろうけど… 「ちょっと!!正城!!私を蹴り飛ばすなんて何様のつもり!!」 「うっさい。元々酷かった周りの目が尚更酷くなっているのに気付けや」 少年、正城の言うとおり少女の先程までの姿、更に少女の大声により周りの目は二人に集中していた 「いいじゃない。むしろ見なさいよ。永遠に私だけ見てればいいのよ!!」 腰に手を当てて高笑いする少女。学校の前と言うこともありセンコウの人達は避けるように中に入っていく 誰も見向きもしていない 「取り敢えず落ち着け」 「にゃっ!?」 後ろからポニーテールを引っ張る。少女の顔は上を強制的に見ざるを得ず、少年は少女を上から覗き込んだ 「美少女とこんなに顔を近付けて思ったことは?」 「大部分が怒りだな」 朝から走らされた怒りと起きた瞬間にツッコミどころ満載な部分とかの怒りで 「布団を装備したのはまあ許そう。理由も大概分かるし」 どうせ夜中に見たんだろう。コイツのことだからそれが正しい 問題は花瓶と俺の朝食の惨状 「花瓶とか普通に死ぬぞ?お前は俺の朝飯をどう調理したかったんだ?」 最後まで水たっぷりの花瓶が後頭部にぶつかってたら起きた途端にまた永遠の眠りについてたぞ? そして朝飯。蜂蜜を使うなら丁寧に一枚一枚塗ってくれ。俺はあれを素手で触る勇気などない 「簡単でしょ?“普通”なんてつまらないじゃない」 そう少女は言うと顔を上げて振り返る そして少年、正城を指差す 「私、渡貫七海にとって“普通”は邪道なのよ!!」 そう朝から高らかに宣言する少女に少年は頭を悩ませることしか出来なかった
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