じつわじつわ…!

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「ここどこー?」 キョロキョロと当たりを見回す彼女。 彼女の名前は 四宮柚(シノミヤユズ) 「電信柱は?車は?コンクリートは?ビルは?」 スカートの裾をヒラヒラさせながら歩く柚。 歩くたびに回りにいる男が柚のスカートを見ている。 でも、柚はそんなことは知らず 回りにいる一人の男に話し掛けた。 「あのぉ…すみません」 「へ!?」 「ここ何処ですか?」 「ここは京ですが…」 「今日?」 「漢字が違います。」 男は親切に漢字を書いてくれたが… 「みみず…?」 「はい?」 みみずがうねっている様な字に 柚は頭を傾げる。 だが、 教えてくれたのには変わりないと 「ありがとうございました。」 頭を下げ礼を言った。 「あのよ…」 「はい?」 頭を上げて男の顔を見る。 男はニヤニヤと笑っていた。 「礼といったら…」 グイッと私の肩を引く。 「きゃっ!?」 「やっぱ体だろ?」 頭にサイレンの音が鳴り響く。 逃げなきゃ…逃げなきゃ! 私は男の腕をガブリと噛んだ。 「ぎゃぁ!!!!」 男が悲鳴をあげ私の肩を掴んでいた手を離す。 その隙に私は走って逃げた。
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