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「せっかくスズメが心を開きかけているのに邪魔をしないでくれるかな?」
だがヒバリが写し鏡を発動させることはなかった。その前に一人の男が二人の前に降りてきて一瞬のうちに目の前にいるバーザードをバラバラに破壊してしまったからだ。
今日はよく上からものが降ってくる。そんな間抜けなことを意識しさせない圧倒的な力。自分達三人が死に物狂いで逃げていたバーザードを意図も簡単に倒してしまった実力。ヒバリは何者かと思う前に恐怖を抱いていた。
けれどスズメは誰なのかわかっており、彼とは打って変わってとても安心した表情をして力が抜けたかのようにその場に座り込んでしまった。
「おい大丈夫かモズ!」
「あぁ大丈夫、少し安心して力が抜けただけだから」
「そうか。それより、あの人は一体――」
誰だろうと思った時には先ほどまでいた男は姿を消していた。と同時にヒバリでも聞こえるほどの大きな音で周りの所々からひっきりなしに爆発音が聞こえてくる。
ヒバリには一体何が起きているのかがわからない、
「あの人がここら一体の敵を倒しているから大丈夫だよ」
だけどスズメには何が起きているのかがわかっており、ゆっくりと立ち上がりながら口にしていた。
表情は笑み、いつもの無表情の表情からは想像できない可愛らしい笑みだ。もしスズメが男じゃなかったら素直に可愛いと思えるだろうとヒバリが思うくらいに。
「あの人?」
「君も名前くらいは知ってると思うけど紳士な死神だよ」
「紳士な死神! 何でそんな奴がこんな所にいるんだよ!」
「さぁ、僕は紳士な死神と関わりがないから知らない」
嘘、本当は彼が何故ここにいるのかを知っている。紳士な死神ことクロアが師匠と呼べる人の息子を陰ながら護っていることを。
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