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「確かに嫌いだよ。でも、参加しなかったらもう二度とミレン先輩には会えないかもしれないし、強くなったリオル先輩にはあとで殺されるかもしれない。どちらかというとそっちの方が嫌なんだ」
「……そのまま殺されて下さい」
やはりこの先輩は万年発情猿。あれだけ嫌だの誇りだの言っておきながらミレン先輩のこととなるとそれを簡単に曲げようとしている。
この先輩に恋している自分すら情けないというほどチットは今の発言にはかなり落胆していた。少なからず死ねばいいと思うほどに。
「えっ、今なんて?」
「何でもないです」
「そう。……でもそれ以上に行くこともためらっているんだ。僕はまだまだ弱いからクラウドさん逹の特訓も受けなくてはいけない。そしてなによりチットちゃんを放ってはいけないよ」
「えっ……」
不意をつくように出てきた言葉にはさすがのチットも思わずドキッとしてしまう。微かに頬を赤らめながらただフィックスのことを見ていた。
自分のことを妹のように心配しているからだとはわかっている。でももしかしたら先輩は自分のことも――という淡い期待も抱いてしまう。
彼女も女の子。いつもはボロクソに罵っているが少しは乙女な所も持ち合わせている。
「チットちゃん、今日僕に自分には好きな人がいるって教えてくれたよね。
僕、まだその人が誰なのかもわかっていないけど、その人がチットちゃんを泣かせることがあれば容赦なくその人を殴る。
僕はそれくらいチットちゃんのことを大事にしているんだ。
でも、僕がチットちゃんから離れてしまうといつチットちゃんが悲しんでいるのかがわからなくなってしまう。
それにいつチットちゃんの身に危険が迫るともわからない。
だから僕はチットちゃんを放ってはいけないんだ」
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