若手の集会

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「……安心してください先輩。もし先輩が行くようなことがあれば私も必ず後を追って研修会に参加しますから」 「でもそれじゃチットちゃんは好きな人と離れ離れになってしまうよ」 「大丈夫です。だって――」 私の好きな人は貴方ですから。本当は素直にこう言いたい。今は実らないとわかっていながらも自分の気持ちはちゃんと伝えて自分も恋愛対象として見られたい。 ただ……彼女は素直じゃない。その前に恋愛に関してはとても恥ずかしがり屋さん。 たった一言の言葉を言ってしまえば済む話なのにどうしても言葉が口から出ない、喉すら通らない、 「私には好きな人はいませんから」 それどころか違う言葉が出て嘘をついてしまう。 今の言葉が彼女の恥ずかしさのあまりについた嘘だということをあのフィックスが気付くはずがない。 夢を語っているかのように清々しい表情をしながら前を見ていた表情を戸惑いのものへと変えてチットのことを見ていた。 「ならあの時の反応は一体……」 「あれはいきなり言われたからビックリしただけですよ。私だって先輩と違って人間、驚くことだってあります」 「そ、そうだったんだ。な~んだ、僕の勘違いだったんだ。やっとチットにも好きな人が出来て喜んだのに――って僕が普通の人間じゃないってどういうことだよ!」 「どういう意味も何も先輩は人間どころか哺乳類ですらない地球外生命体です。何を今さら驚いているのですか」 「僕はエイリアンじゃない!」 さっきまでのことを忘れるようにフィックスはガミガミと怒鳴って怒っていた。 その姿を少し嬉しそうな表情を浮かべながら見て思う。 今はまだこれでいい。先輩が私の隣にいる間はこういう関係でも。でもいつか、もう少し自分が大人になって素直になったら必ず自分の気持ちを素直に伝えると……。 ……彼女は後になってこの時自分が気持ちを伝えなかったことを強く後悔することになる。 この隣を歩く彼が……氷のように冷たく何も考えることが出来なくなってしまってから。そんなことも知らずに彼女は今の時間を楽しみ続ける。
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