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「何でここにいるの?」
自分達とは暗黙の了解 により別々の方向へと逃げた。それはつまり自分達他の人間に何があっても助けないことを意味している。なのに、なのにこのちっちゃい背中をするまだ頼りない少年は助けてくれた。
理解できない。スズメは恐怖で落ちる涙で潤んでしまってしっかりと見えない瞳で彼のことを見ながら疑問に抱いていた。
問われたヒバリ。なんだかめんどくさそうに後頭部をかきながら顔だけをスズメに向ける。
「やっぱり俺は馬鹿なんだよ、他人を見捨てて逃げるっていうことが出来ないってくらい。それに俺の師匠のフィックスさんもきっと同じ状況なら同じことをしてたと思う。こうやって仲間のために体を張るっていう行動を」
そう言って彼はまだあどけなさが残る笑みで笑って見せる。
どこまでも明るく人を元気にさせる笑み。今のスズメには一生かかっても浮かべられないものであった。
人は自分にないものには強く惹かれる、今のスズメがまさにそうであり彼の笑みに心が奪われていた。
でもあいつは奪われない。あいつはヒバリとスズメの二人っきりの空間をぶち壊すように容赦なくまたヒバリ達へと突っ込んできた。そのことに気づくなりまたヒバリは写し鏡を使って相討ちさせようとする。
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