若手の集会

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「今年は入部希望者が来るかな~」 天文学部の部室から見える桜並木の桜は例年通り咲い乱れており、そこを今年入学したばかりの一年生が希望や不安で心満たされながら歩いていた。 フィックスもそんな一年生達を見ながら希望を抱いている。今年は新入生が入部してくれるかどうかという淡い期待を。 ……フィックスがこの学校に来て五年目の春がやって来た。 ホント、この五年間は色んなことがあった。 一年目は突如として現れたニットにさらわれて彼の研究所にやって来てそこで色んな実験に付き合わされた。 二年目はチットが入学してきた。最初のうちは目が合っても無視されるは拒絶されるはで散々だったが、いつの間にか自分の隣に立っていて天文学部にまで入部してきた。その分今のように好き放題言われるようになったが。 そして三年目もなんだかんだその二人に振り回され去年、四年目が今までの中で一番濃すぎる一年だった。 突如として起きたテロに巻き込まれて自分の弱さを知り強くなることを決意をした。 その過程で密かに憧れを抱いていたたミレンと恐れを抱いていたリオルと親しくなった。 それからテロリストの残党を追ってルサとプルトと出会い、建国記念日には姫のアムリスや外国の貴族であるガラドとも親しくなった。 そして今、彼は五年目の学園生活がどうなるかを楽しみにしながら笑みを浮かれていた。 「先輩、ニヤニヤしながら窓の外を見ないでください、ロリコンだと思われますよ。まぁ、もう変質者だと思われていますが」 いつも通り、チットの痛々しい毒舌の声が聞こえてくる。今日も絶好調。フィックスの心をグサリグサリと鋭い矢が刺さるほどに冴え渡っている。
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