509人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺! 去年の学生の世界大会をテレビを通して見ました! そこで見た先輩の戦っている姿を見て俺、この人の弟子になりたいと強く思いました!」
「……ヒバリ君には悪いけどあれ、僕じゃないんだよ」
「嘘をつかないで下さい! 俺、わざわざ調べてこの学校に入学したんですよ!」
「じゃあ僕がヘッポコだっていうことも知っているよね?」
あれだけ大々的なことをやっておいて何故彼が今もなお平穏に生活できるのか?
それはニットが彼の個人情報をいじくってそう簡単には特定されないようにしたからだ。
ただそれでも情報というものは知れ渡るもの。今のヒバリのように独自のルートでここまでたどり着いたもの達もいる。
そのたどり着いたもの達にはまた違うトラップが待ち受けることとなる。それは今彼が言った通りの学校での評価である。
運動神経ゼロ魔力量二百ポイント。そんなものがあのときの凄まじい戦いを演じた人物なはずがない。そういった客観的な視点でその情報はただのガセネタと判断してしまうのだ。
しかし、それでも彼が偽っているという真実に近づいたものも何人かおり、彼のことをストーカーのように付け狙うものもいた。
その度にフィックスはニットに頼んで露払いをしてもらった。どのような方法をしたかはわからない。だがあのニットのことだからとんでもない方法だとフィックスは感じ少し申し訳ない気持ちになってくる。
「知っていますけどあれはデタラメな情報です! 本当のフィックスさんはもっと強いはずです!」
「……もしそうだったとして何で僕なの? 僕なんかよりリオル先輩やミレン先輩の方が強いと思うよ」
「いえ! フィックスさんの方が強いです!」
最初のコメントを投稿しよう!